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【サンツアーの全て】

その9 「ジュニアスポーツ車」

持つべきものは親切な友達で本当に有り難う。フロッピーで渡してくれるなんて、書いたついでに自分で投稿して
くれるとうれしいんだけど。旧姓岩井氏より寄与頂きました。
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ジュニアスポーツ車

少年たちに夢を与えてくれたジュニアスポーツ、グリコのおまけじゃあるまいし、なんて言うと歳がばれるか。

コンテンツ

電動変速機と言っても内装じゃない。
油圧ブレーキと言ってもくるまじゃない。
サブマリーナと言っても潜水艦員じゃない。
ラジアルタイヤと言ってもカリーナじゃない。
キャストホイールと言ってもナナハンじゃない。
コンソールシフトと言ってもジャガーじゃない。
ディスクブレーキと言ってもブレンボじゃない。
2速オートマチックと言ってもトヨグライドじゃない。
全天候AWブレーキと言ってもABSのことじゃない。
油圧ディスクブレーキと言ってもロックヒードじゃない。

フォグランプと言ってもラリーカーじゃない。
流れるフラッシャーと言ってもデコトラじゃない。
リトラクタブルヘッドランプと言ってもサバンナRX−7じゃない。
ツインヘッドランプと言っても砂漠仕様のオフロードモーターサイクルじゃない。

倍力サーボとはなにものだ。
ステムシフトとはなにものだ。
クリマチックとはなにものだ。
可変ハンドルとはなにものだ。
トリアルタイヤとはなにものだ。
ディレーラーガードとはなにものだ。

セーフティレバーは御存知ですね。
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電動変速機と言っても内装じゃない。
 もちろんプーリーから動力を取り出すシステムじゃない。
 変速ワイヤーを引っ張るのにモーターを使うシステムだ。
 単純明快、日米富士が採用したように記憶している。

油圧ブレーキと言ってもくるまじゃない。
 もちろんモーターサイクルでもない。
 シマノがセンタープルで作っていた、油圧チューブとレバーの信頼性が・・。アーチワイヤの所に油圧機構が付いてる感じ、機構部から油が漏れるとアームを油が伝って・・・悲惨。弟が使っていて中学の3年間持たなかった。

サブマリーナと言っても潜水艦員じゃない。
 隣のおじいちゃんはイ号潜水艦乗りで背は小さいけど背筋はぴしっと、じゃなくて 全ステンレス製の錆びない自転車、当然、溶接・ロー接は出来ないのでBSのダイカスト接合。チェンとフリーが錆びるだろうって? 当時のBSをナメチャいけねえ、チェンは産業用にステンレスが有ったし、サンツアーに全ステンレス製のフリーを作らせたんだぜい、ボールまでステンレスだったんだぜい。

ラジアルタイヤと言ってもカリーナじゃない。
 ワカルカナわっかんねえだろうな、足の良いやつカリーナというキャッチフレーズでキーハンターの千葉真一をキャラにしたCMがTVにバンバン流れていたんだ。なんで足が良いのだ? ラジアルタイヤ標準装備だったからさ。(v−luxe注、当時の国産乗用車はほとんどがバイアスタイヤ標準でした、自転車でもトレッドの変形が少ないので抵抗が小さいとの触れ込みでした。)
トレッドパターンがカッコ良かった。カッコだけね。持って重く走っても重かった。

キャストホイールと言ってもナナハンじゃない。
 軽合金製の一体ホイール、ヨーロッパではとっくの昔に使用されていたキャストホイールが国内でも認可されたのでオートバイメーカー3社が一斉に採用した。破竹の勢いのスズキは自転車用の金型を作って自社ブランドのジュニアスポーツに装備、スズキ製オートバイと同じ星型デザインは秀逸。GS750Eの人気にあやかってジュニアスポーツ市場の席巻をもくろむも、重い・振動がダイレクト・振れたら直らない、の3重苦であえなく消滅。10年後プラスチックホイールになって別の会社からファッションホイールとして一体ホイールが出るも重い・振れたら直らないは解決せず、バーゲンの目玉車程度の扱い。

コンソールシフトと言ってもジャガーじゃない。
 コラムシフトじゃスポーツ出来ないぜ、やっぱフロアシフトだよな、でもってセンターコンソール付けてさ皮張りのやつ、8トラテープ入れてさ。
 ダウンチューブのレバーは前屈みになって危ない、トップチューブに移そう。何速に入っているか判らないから目盛りも付けて、折角だからカッコイイカバーも付けてさ、横から見てもステキに見えるようなデザインがイイナ。もちろんレバーはT字型で決まりさ。(v−luxe注、なんとシーケンシャル変速なのです、当たり前か。)

ディスクブレーキと言ってもブレンボじゃない。
 もちろんロックヒード(ロッキードのこと)でもない。
 オートバイも四輪車もディスクは前輪に装備するのにジュニアスポーツはなぜか後輪装備、じつはバンドブレーキの台座に装着したからなんだよね。ディスクをバンドブレーキの台座にねじ込み、キャリパーはシートステイとチェンステイを跨ぐ様に装着すると一丁上がり。始めはシマノ製の物で、4辺が等しい平行四辺形の一つの対角を縮めるともう一方の対角は広がる、よって力点を広げ作用点を縮めることでディスクを挟み込む方式。(v−luxe注、カンパのデルタブレーキのような構造をうんと簡単にした物)重たいディスクが癌だが雨や水溜まりでも制動力が落ちにくいのはあり難かった。(v−luxe注、そのかわり歩道から車道に下りる時、ディスクブレーキを掛けたままだと後輪がロックして実に簡単にスポークが切れました。)すぐに、もちっと近代的な方式、ヘリコイド方式のキャリパーが開発された。
 125CCまでのオートバイに採用されていたのと基本は同じ。パッドは柔らかい材質だった。BSディスクとか書いたプレートが張って有った。問題は片押しシステムでディスクを片側から押しつけて制動するので、極めて僅かとはいえひきずり抵抗が有った。当然ディスクはたわんで反対側のパッドを擦るのだ。

2速オートマチックと言ってもトヨグライドじゃない。
 高級車クラウン、大衆車パブリカなどに採用されていた流体接手方式の自動変速機がトヨグライド。2速ならそんな大袈裟な事をしなくても遠心力を利用してギヤを切り換えれば簡単 そこで5速フリーに内装ギヤを付けて実質10速とした物。(v−luxe注、ハブに内蔵したのではない)フリーの回転が上がると重くなり回転が下がると軽くなるのは良いのだが、変速点が上下同じなのと整備が悪いと動かなくなってガチョーン。

全天候AWブレーキと言ってもABSのことじゃない。
 オールウェザーでAW、アンチロックはしない。ブレーキシューのサイドに浅い穴を開けて圧力をコントロールし水膜を切る方式。さすがタイヤの水はけで苦労したブリヂストンタイヤの技術力お世話になりました。真面目な力作。

油圧ディスクブレーキと言ってもロックヒードじゃない。
 GT125も真っ青の油圧ディスクブレーキ、この頃の125CC以下のバイクはワイヤー式ディスクだったのにオイルディスクだぜい、リザーブタンクまで着いてたんだぜい。MTBは今頃になってディスクつかってんだって、オックレテルーゥ。

フォグランプと言ってもラリーカーじゃない。
 霧深い山間部の通学には必需品だった、、、な訳ないだろ、おもちゃ、オモチャ。

流れるフラッシャーと言ってもデコトラじゃない。
 流れ星や一番星が国道を走りまわっていたあの頃巨大5連ウインカーは男の証だった。オートバイでさえウィンカーは一つなのに5連ランプが流れるように発光するなんて。 目立つめだつ、電池の消耗も目立つぞ。

リトラクタブルヘッドランプと言ってもサバンナRX−7じゃない。
 もちろんトヨタ2000GTでもない、だけど電動なんだぜ。空気抵抗の低減はスポーツ車の宿命、危険な夜間は空気抵抗が増えてもかまわないが昼間はCD値を僅かでも下げろ、下げるんだ。フロントキャリアに装備しているんだぞ、空気抵抗がどうしたって?。

ツインヘッドランプと言っても砂漠仕様のオフロードモーターサイクルじゃない。
 これは真面目な良い装備、オートバイでも同じなのだがライト1個だと近づいて来る速度を読み取り難いのだ、光源が点だからだ。ツインヘッドランプだとランプの間隔が開く感じで速度感を得易いのさ、事故防止に役立つ良い装備だった。片方が玉切れでも取り合えず無灯火にならないしね。

倍力サーボとはなにものだ。
 サイドプルブレーキなのにセンタープルの制動力。カム機構を使って見掛けのレバー比を変えるシステム。産業用に応用させて頂きました。ダイヤコンペさんありがとう。

ステムシフトとはなにものだ。
 ダウンチューブに変速レバーが有るのは危険である、トップチューブに移すとやけに子供じみてくる、それじゃステムだ。理屈は後からつけりゃいい。 とは言え結構便利だったよ。

クリマチックとはなにものだ。
 変速レバーにクリック感をいれたら、クリックマチック。だってせっかくコンソールボックスに段数表示が有るのにカチカチ感が無いと寂しいじゃないですか。ついでに停車中でもレバーを目的のギヤにセットして置ける様に発展して発進と同時に変速するが手はハンドルに置いたままという安全なシステムにまで進化したぞ。

可変ハンドルとはなにものだ。
 旧ソ連の実験専用飛行機に飛んでる最中に複翼から単翼に変身する機体があった。それを真似るのは難しいので止まっている時にアップハンドルからドロップハンドルの位置まで握りの位置を上下に変えられるハン
ドルが開発された。位置が変わるだけでハンドルの形が変わる訳ではない、もちろん前後には動かないしブレーキレバーが勝手に位置を変えてくれる訳でもない。これを見かけたグラマン社の技師がF−14トムキャットの可変後退翼設計の参考にしたと言うまことしやかな嘘が子供達の間に流れたが、じつは本当だったらしい。(v−luxe注、本当に嘘だったらしい)

トリアルタイヤとはなにものだ。
 親会社の石頭技術屋に「自転車にラジアルタイヤは不合理だ」と言われ「それじゃ広告に載せるキャッチコピーが貧弱です」と泣きついてなんとか作って頂いたのが三角断面のタイヤ。「接地面積が狭いからコロガリ抵抗が少ないぞ」とこれは本当なのだがゴム質と耐久性の関係でタイヤ重量が重たくて。三角だからトリアル。ラジアル(放射状)コード組だからラジアル。
 トリアルタイヤはバイアス組コードのタイヤ。最近の高性能700Cにも隠れトリアルが結構有るぞ。

ディレーラーガードとはなにものだ。
 読んで字のごとし。本来はハブ軸に留める後付け金具だったのだが、シマノのジュニアスポーツ用変速機の一部には最初から変速機の構造に入っている物も有った。当時は変速機の価格が高かったからね、絶対金額では無く小遣いに対してだけど。

セーフティレバーは御存知ですね。

その10に続く


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