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その16 「異端のテクノロジー・シュパーブテックの巻 後編」
パンタをやめると決めてはみたものの、
チェンケージをフリー(車軸)に直角に保持して移動させるにはどのような方法が有るんだろう。いまさらスライドシャフトには戻りたく無いし、夜店で売っている蛇のおもちゃも良く見ればパンタ式だし、息を吹き込むと延びるおもちゃも結局スライドシャフトの亜流だし。意気込んではみたものの前途多難、どうしよう。何か手本に成る物ないかなあ、カマキリの腕とか、電気のスタンドとか、うーん前例の無い物を考えるのは大変だあ。頭のなかボロボロになって家に帰ると奥方はミシン掛けの真っ最中、新しい曲線縫いの出来るジグザグミシンを買ってからというもの、何かといえばミシンを動かして楽しんでいる、ソーイングマシーンがミシーンと聞こえたからミシン、犬をカムオンと呼ぶのがカメンと聞こえたからカメ、赤のレッドがウレか、鈍った頭で戯れ言を考えていると、模様を変える時には何やら部品を入れ換えている、何だろうと手に取って見ると「カム」(変心軸)だ、別に目新しい物じゃあ無いけれども?・?・? カムを2個くっつけるとどの様な動作をするんだろう、カムの軸同士を何かで固定して置いて片方のカムを回すと・・・・・
厚紙をカム型に切って画鋲を突き刺し動作模型を作る、一方のカムを抑えて全体を動かすと他方のカムが回転する、そのある一点にチェンケージを取り付ければ・・・
昭和52年の前田工業本社で開かれた商品内示会(マイクロライトフェスティバルだった様な記憶がある)に麗々しく展示されました。もっともそのときの名称はSpace Course 100 スペースコース100でしたが。
完全シールド、アウターレスの直引き、ダブルテンション式チェンケージのワイドレシオ、レーシング用のショートケージモデルも揃えて「シュパーブテック」として登場出来ました。広告には透視図を使い動作説明をしました、お蔭でダブルテンション式チェンケージの印象が少し薄れたかも。
もっとも価格が中途半端に高価だったのと、なまじ完全シールドのためにメカニズムの面白さが目に見えず、日本市場ではもてはやされずに終わってしまった「不運の逸品」だった、と結論づけて置くと苦情来るでしょうねぇ。
使ってみて、
変速は前田工業製サンツアーの面目躍如、もう心から満足ゆきました、レバーも軽かったし、ただカムが重いのか?ケージが重いのか?全体の重量が重いのはちょっと残念、藪漕ぎしても草や笹が絡ま無いのは狙いどおり、雨天でも雪解けの泥路でも正確な変速で水洗いが簡単なのは有りがたかったです。
と良い事ばかり書きましたが、一つだけ重要な欠点が有りました、プラスチック製のシーリングリングがへたる場合が有ります、私のテックはこれがふやけて砂が入り、ロー側を乗り越えてチェンケージがスポークに突入、あじゃぱーになりました。もっともシールがへたったら本体ごと取り替えれば良いのですが。
蛇足 これらアキューシフト以前の後変速機は現代のくにゃくにゃなチェンでは本来の性能を発揮出来ません、もちろん7−9速も動作保証無いですし仮に動いても前田製サンツアーの胸のすく様な切れ味は望めません。
しまった順番間違えた、テックの前にサイクロンM-UやARXが発売になっていたんだ。
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