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第6章 自動車及び原動機付自転車の運転免許
第84条(運転免許)
自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3 第一種免許を分けて、大型自動車免許(以下「大型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、大型特殊自動車免許(以下「大型特殊免許」という。)、自動二輪車免許(以下「二輪免許」という。)、小型特殊自動車免許(以下「小型特殊免許」という。)、原動機付自転車免許(以下「原付免許」という。)及び牽引免許の七種類とする。
4 第二種免許を分けて、大型自動車第二種免許(以下「大型第二種免許」という。)、普通自動車第二種免許(以下「普通第二種免許」という。)、大型特殊自動車第二種免許(以下「大型特殊第二種免許」という。)及び牽引第二種免許の四種類とする。
5 仮免許を分けて、大型自動車仮免許(以下「大型仮免許」という。)及び普通自動車仮免許(以下「普通仮免許」という。)の二種類とする。
第85条(第一種免許)
次の表の上欄に掲げる自動車等を運転しようとする者は、当該自動車等の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第一種免許を受けなければならない。
┌───────────┬────────────┐ l 自動車等の種類 l 第一種免許の種類 l ├───────────┼────────────┤ l 大型自動車 l 大型免許 l ├───────────┼────────────┤ l 普通自動車 l 普通免許 l ├───────────┼────────────┤ l 大型特殊自動車 l 大型特殊免許 l ├───────────┼────────────┤ l 自動二輪車 l 二輪免許 l ├───────────┼────────────┤ l 小型特殊自動車 l 小型特殊免許 l ├───────────┼────────────┤ l 原動機付自転車 l 原付免許 l └───────────┴────────────┘
2 前項の表の下欄に掲げる第一種免許を受けた者は、同表の区分に従い当該自動車等を運転することができるほか、次の表の上欄に掲げる免許の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる種類の自動車等を運転することができる。
┌──────────┬───────────────────────┐ l 第一種免許の種類 l 運転することができる自動車等の種類 l ├──────────┼───────────────────────┤ l 大型免許 l 普通自動車、小型特殊自動車及び原動機付自転車l ├──────────┼───────────────────────┤ l 普通免許 l 小型特殊自動車及び原動機付自転車 l ├──────────┼───────────────────────┤ l 大型特殊免許 l 小型特殊自動車及び原動機付自転車 l ├──────────┼───────────────────────┤ l 二輪免許 l 小型特殊自動車及び原動機付自転車 l └──────────┴───────────────────────┘
3 牽引するための構造及び装置を有する大型自動車、普通自動車又は大型特殊自動車(以下「牽引自動車」という。)によつて、重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転しようとする者は、当該牽引自動車に係る免許(仮免許を除く。)のほか、牽引免許を受けなければならない。
4 牽引免許を受けた者で、大型免許、普通免許、大型特殊免許、大型第二種免許、普通第二種免許又は大型特殊第二種免許を現に受けているものは、これらの免許によつて運転することができる牽引自動車によつて重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転することができる。
5 大型免許を受けた者で、二十一歳に満たないもの又は大型免許、普通免許若しくは大型特殊免許を受けた者で、当該いずれかの免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年に達しないものは、第二項の規定にかかわらず、政令で定める大型自動車を運転することはできない。
6 大型免許を受けた者で二十歳に満たないものは、第二項の規定にかかわらず、大型自動車(政令で定めるものを除く。)を運転することはできない。
7 普通免許を受けた者で、大型免許、普通免許又は大型特殊免許のいずれかを受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して二年に達しないものは、第二項の規定にかかわらず、政令で定める普通自動車を運転することはできない。
8 二輪免許を受けた者で、二輪免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して二年に達しないものは、第二項の規定にかかわらず、政令で定める自動二輪車を運転することはできない。
9 第一種免許を受けた者は、第二項の規定により運転することができる自動車又は第四項の規定により牽引自動車によつて重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転することができる場合における当該重被牽引車が道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下「旅客自動車運送事業」という。)の用に供される自動車(以下「旅客自動車」という。)又は旅客自動車運送事業の用に供される重被牽引車(以下「旅客用車両」という。)であるときは、第二項及び第四項の規定にかかわらず、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で、当該旅客自動車を運転し、又は牽引自動車によつて当該旅客用車両を牽引して当該牽引自動車を運転することはできない。
(罰則 第五項から第八項までについては第百十八条第一項第五号)
第86条(第二種免許)
次の表の上欄に掲げる自動車で旅客自動車であるものを旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者は、当該自動車の種類に応じ、それぞれ同表の下欄〔B〕に掲げる第二種免許を受けなければならない。
┌───────────┬─────────────┐ l 自動車の種類 l 第二種免許の種類 l ├───────────┼─────────────┤ l 大型自動車 l 大型第二種免許 l ├───────────┼─────────────┤ l 普通自動車 l 普通第二種免許 l ├───────────┼─────────────┤ l 大型特殊自動車 l 大型特殊第二種免許 l └───────────┴─────────────┘
2 前項の表の下欄に掲げる第二種免許を受けた者は、同表の区分に従い当該自動車を当該目的で運転することができるほか、当該第二種免許に対応する第一種免許を受けた者が前条第二項の規定により運転することができる自動車等を運転することができる。
3 牽引自動車によつて旅客用車両を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で牽引して当該牽引自動車を運転しようとする者は、当該牽引自動車に係る免許(仮免許を除く。)のほか、牽引第二種免許を受けなければならない。
4 牽引第二種免許を受けた者で、大型免許、普通免許、大型特殊免許、大型第二種免許、普通第二種免許又は大型特殊第二種免許を現に受けているものは、これらの免許によつて運転することができる牽引自動車によつて旅客用車両を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で牽引して当該牽引自動車を運転することができるほか、これらの免許によつて運転することができる牽引自動車によつて重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転することができる。
第87条(仮免許)
大型自動車若しくは普通自動車を当該自動車を運転することができる第一種免許若しくは第二種免許を受けないで練習のため運転しようとする者又は普通自動車を第九十七条第一項第二号に掲げる事項について行う普通免許の運転免許試験若しくは第九十九条第一項に規定する指定自動車教習所における普通自動車の運転に関する技能についての技能検定(次項において「試験等」という。)において運転しようとする者は、その運転しようとする自動車が大型自動車であるときは大型仮免許を、普通自動車であるときは普通仮免許を受けなければならない。
2 大型仮免許を受けた者は練習のため大型自動車若しくは普通自動車を又は試験等において普通自動車を、普通仮免許を受けた者は練習のため又は試験等において普通自動車を運転することができる。この場合において、仮免許を受けた者は、練習のため自動車を運転しようとするときは、その運転者席の横の乗車装置に、当該自動車を運転することができる第一種免許を受けている者(免許の効力が停止されている者を除く。)で当該免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年以上のもの、当該自動車を運転することができる第二種免許を受けている者(免許の効力が停止されている者を除く。)その他政令で定める者を同乗させ、かつ、その指導の下に、当該自動車を運転しなければならない。
3 仮免許を受けた者は、練習のため自動車を運転しようとするときは、総理府令で定めるところにより当該自動車の前面及び後面に総理府令で定める様式の標識をつけて当該自動車を運転しなければならない。
4 仮免許を受けた者は、第二項の規定にかかわらず、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で旅客自動車を運転することはできない。
5 仮免許の有効期間は、当該仮免許に係る第九十七条第一項第一号に掲げる事項について行う運転免許試験(第九十条及び第九十二条の二において「適性試験」という。)を受けた日から起算して六月とする。ただし、当該期間が満了するまでの間に、大型仮免許を受けた者が大型免許若しくは大型第二種免許を受け、又は普通仮免許を受けた者が大型自動車若しくは普通自動車を運転することができる第一種免許若しくは第二種免許を受けたときは、当該仮免許は、その効力を失う。
(罰則 第二項後段については第百十八条第一項第六号第三項については第百二十条第一項第十四号、同条第二項)
第2節 免許の申請等
第88条(免許の欠格事由)
次の各号のいずれかに該当する者に対しては、第一種免許又は第二種免許を与えない。
一 大型免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、普通免許、大型特殊免許及び牽引免許にあつては十八歳に、二輪免許、小型特殊免許及び原付免許にあつては十六歳に、それぞれ満たない者
二 精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳がきこえない者又は口がきけない者
三 前号に掲げる者のほか、政令で定める身体の障害のある者
四 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
五 第九十条第一項ただし書の規定により免許を拒否された日から起算して同条第四項の規定により指定された期間を経過していない者若しくは免許を保留されている者又は同条第三項の規定により免許を取り消された日から起算して同条第四項の規定により指定された期間を経過していない者若しくは免許の効力を停止されている者
六 第百三条第二項第二号若しくは第三号若しくは同条第四項の規定により免許を取り消された日から起算して同条第六項の規定により指定された期間(第百三条の二第一項の規定により免許の効力を停止された者が当該事案について免許を取り消された場合にあつては、当該指定された期間から当該免許の効力が停止されていた期間を除いた期間)を経過していない者又はこれらの規定若しくは第百三条の二第一項の規定により免許の効力が停止されている者
七 第百七条の五第一項の規定により、若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定により、又は第百七条の五第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により自動車等の運転を禁止されている者
2 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、仮免許を与えない。
一 大型仮免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、普通仮免許にあつては十八歳に、それぞれ満たない者
二 前項第二号から第四号までのいずれかに掲げる者
3 免許を現に受けている者は、当該免許と同一の種類の免許を重ねて受けることができない。
第89条(免許の申請)
免許を受けようとする者は、その者の住所地(仮免許を受けようとする者で現に第九十八条第二項の規定による届出をした自動車教習所において自動車の運転に関する教習を受けているものにあつては、その者の住所地又は当該自動車教習所の所在地)を管轄する公安委員会に、総理府令で定める様式の免許申請書を提出し、かつ、当該公安委員会の行う運転免許試験を受けなければならない。
第90条(免許の拒否等)
公安委員会は、前条の運転免許試験に合格した者(当該運転免許試験に係る適性試験を受けた日から起算して、第一種免許又は第二種免許にあつては一年を、仮免許にあつては三月を経過していない者に限る。)に対し、免許を与えなければならない。ただし、自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反した者については、政令で定める基準に従い、免許(仮免許を除く。以下この条において同じ。)を与えず、又は六月をこえない範囲内において免許を保留することができる。
2 公安委員会は、前項ただし書の規定により免許を拒否し、又は保留しようとするときは、当該運転免許試験に合格した者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
3 公安委員会は、免許を与えた後において、当該免許を受けた者が当該免許を受ける前に自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したことが判明したときは、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。前項の規定は、この場合について準用する。
4 公安委員会は、第一項ただし書の規定により免許を拒否し、又は前項の規定により免許を取り消したときは、政令で定める基準に従い、三年をこえない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
5 第三項の規定により免許を取り消され、又は免許の効力の停止を受けた時におけるその者の住所が当該処分をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にあるときは、当該処分をした公安委員会は、すみやかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
6 公安委員会は、第一項ただし書の規定により免許を保留され、又は第三項の規定により免許の効力の停止を受けた者が第百八条の二第一項第三号に掲げる講習を終了したときは、政令で定める範囲内で、その者の免許の保留の期間又は効力の停止の期間を短縮することができる。
第90条の2(普通免許等を受けようとする者の義務)
次の各号に掲げる種類の免許を受けようとする者は、それぞれ当該各号に定める講習を受けなければならない。ただし、当該講習を受ける必要がないものとして政令で定める者は、この限りでない。
一 普通免許第百八条の二第一項第四号及び第六号に掲げる講習
二 二輪免許第百八条の二第一項第五号及び第六号に掲げる講習
三 原付免許第百八条の二第一項第七号に掲げる講習
2 公安委員会は、前項各号に掲げる種類の免許に係る運転免許試験に合格した者(同項ただし書の政令で定める者を除く。)がそれぞれ同項各号に定める講習を受けていないときは、その者に対し、免許を与えないことができる。
第91条(免許の条件)
公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、必要な限度において、免許に、その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じ、その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し、及びこれを変更することができる。
(罰則 第百十九条第一項第十五号)
第3節 免許証等
第92条(免許証の交付)
免許は、運転免許証(以下「免許証」という。)を交付して行なう。この場合において、同一人に対し、日を同じくして第一種免許又は第二種免許のうち二以上の種類の免許を与えるときは、一の種類の免許に係る免許証に他の種類の免許に係る事項を記載して、当該種類の免許に係る免許証の交付に代えるものとする。
2 免許を現に受けている者に対し、当該免許の種類と異なる種類の免許を与えるときは、その異なる種類の免許に係る免許証にその者が現に受けている免許に係る事項を記載して、その者が現に有する免許証と引き換えに交付するものとする。
第92条の2(免許証の有効期間)
第一種免許及び第二種免許に係る免許証(第百七条第二項の規定により交付された免許証を除く。以下この項において同じ。)の有効期間は、次の表の上欄に掲げる区分ごとに、それぞれ、同表の中欄に掲げる年齢に応じ、同表の下欄に定める日が経過するまでの期間とする。
┌────────────┬───────┬─────────────┐ l 免許証の交付又は更新 l 更新日等に l 有効期間の末日 l l を受けた者の区分 l おける年齢 l l ├────────────┼───────┼─────────────┤ l 優良運転者 l 七十歳未満 l 満了日等の後のその者の l l l l 五回目の誕生日 l l ├───────┼─────────────┤ l l 七十歳 l 満了日等の後のその者の l l l l 四回目の誕生日 l l ├───────┼─────────────┤ l l 七十一歳以上l 満了日等の後のその者の l l l l 三回目の誕生日 l ├────────────┼───────┼─────────────┤ l 優良運転者以外の者 l l 満了日等の後のその者の l l l l 三回目の誕生日 l ├────────────┴───────┴─────────────┤ l備考 l l一 この表に掲げる用語の意義は、次に定めるとおりとする。 l l 1 更新日等第百一条第三項の規定により更新された免許証にあつては当l l 該更新された日、第百一条の二第三項の規定により更新された免許証にl l あつては同条第二項の規定による適性検査を受けた日、その他の免許証l l にあつては当該免許証に係る適性試験を受けた日 l l 2 優良運転者更新日等までに継続して免許(仮免許を除く。)を受けてl l いる期間が五年以上である者であつて、自動車等の運転に関しこの法律l l 及びこの法律に基づく命令の規定並びにこの法律の規定に基づく処分のl l 遵守の状況が優良な者として政令で定める基準に適合するもの l l 3 満了日等第百一条第三項の規定により更新された免許証にあつては更l l 新前の免許証の有効期間が満了した日、第百一条の二第三項の規定によl l り更新された免許証にあつては同条第二項の規定による適性検査を受けl l た日、その他の免許証にあつては当該免許証に係る適性試験を受けた日l l二 更新日等がその者の誕生日である場合におけるこの表の適用についてはl l 同表中「更新日等」とあるのは、「更新日等の前日」とする。 l l三 その者の誕生日が二月二十九日である場合におけるこの表の適用についl l ては、その者のうるう年以外の年における誕生日は二月二十八日であるもl l のとみなす。 l └──────────────────────────────────┘
2 第百七条第二項の規定により交付された免許証の有効期間は、当該免許証に係る同条第一項の規定により返納された免許証の有効期間が満了することとされていた日が経過するまでの期間とする。
3 前二項に規定する期間の末日が日曜日その他政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日を当該期間の末日とみなす。
第93条(免許証の記載事項)
免許証には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 免許証の番号
二 免許の年月日及び免許証の交付年月日
三 免許の種類
四 免許を受けた者の本籍、住所、氏名及び生年月日
五 免許を受けた者が前条第一項の表の備考一の2に規定する優良運転者である場合にあつては、その旨
2 公安委員会は、前項各号に掲げるもののほか、免許を受けた者について、第九十一条の規定により、免許に条件を付し、又は免許に付されている条件を変更したときは、その者の免許証に当該条件に係る事項を記載しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、免許証の様式その他免許証について必要な事項は、総理府令で定める。
第94条(免許証の記載事項の変更届出等)
免許を受けた者は、前条第一項に規定する免許証の記載事項に変更を生じたときは、すみやかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載を受けなければならない。
2 前項の規定による公安委員会の管轄区域を異にする住所地の変更の届出を受けた公安委員会は、当該届出をした者の従前の住所地を管轄する公安委員会にその旨を通知しなければならない。
3 免許を受けた者は、免許証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、その者の住所地(仮免許に係る免許証にあつては、その者の住所地又はその者が現に自動車の運転に関する教習を受けている第九十八条第二項の規定による届出をした自動車教習所の所在地)を管轄する公安委員会に免許証の再交付を申請することができる。
4 第一項に規定する免許証の記載事項の変更の届出の手続及び前項に規定する免許証の再交付の申請の手続は、総理府令で定める。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第九号)
第95条(免許証の携帯及び提示義務)
免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第十号、同条第二項第二項については第百二十条第一項第九号)
第4節 運転免許試験
第96条(受験資格)
第八十八条第一項各号のいずれかに該当する者は第一種免許の運転免許試験を、同条第二項各号のいずれかに該当する者は仮免許の運転免許試験を受けることができない。
2 大型免許の運転免許試験を受けようとする者(政令で定める者を除く。)は、普通免許又は大型特殊免許を現に受けている者に該当し、かつ、当該いずれかの免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して二年以上の者でなければならない。
3 大型免許、普通免許、大型特殊免許、大型第二種免許、普通第二種免許又は大型特殊第二種免許を現に受けている者でなければ、牽引免許の運転免許試験を受けることができない。
4 第二種免許の運転免許試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 牽引第二種免許以外の第二種免許の運転免許試験については、二十一歳以上の者で、大型免許、普通免許又は大型特殊免許を現に受けている者に該当し、かつ、当該いずれかの免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年(政令で定めるものにあつては、二年)以上のもの
二 牽引第二種免許の運転免許試験については、二十一歳以上の者で、大型免許、普通免許又は大型特殊免許及び牽引免許を現に受けている者に該当し、かつ、当該いずれかの免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年(政令で定めるものにあつては、二年)以上のもの
三 その者が受けようとしている第二種免許の種類と異なる種類の第二種免許を現に受けている者
5 第二項、第三項及び前項各号に規定する免許を現に受けている者には、第九十条第三項、第百三条第二項第二号若しくは第三号若しくは第四項又は第百三条の二第一項の規定により当該免許の効力が停止されている者及びこれに準ずるものとして政令で定める者を含まないものとする。
第96条の2
普通免許の運転免許試験を受けようとする者(政令で定める者を除く。)は、仮免許を現に受けている者に該当し、かつ、過去三月以内に五日以上、総理府令で定めるところにより道路において自動車の運転の練習をした者でなければならない。
第96条の3
第九十条第一項ただし書の規定による免許の拒否、同条第三項若しくは第百三条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し又は第百七条の五第一項の規定若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定による六月を超える期間の自動車等の運転の禁止を受けた者(同条第二項第一号又は第百七条の五第一項第一号に該当することを理由としてこれらの処分を受けた者を除く。)で、運転免許試験(仮免許の運転免許試験を除く。)を受けようとするものは、過去一年以内に第百八条の二第一項第二号に掲げる講習(当該処分前に行われた講習を除く。)を終了した者でなければならない。ただし、当該処分を受けた後免許(仮免許を除く。)を受けたことがある者は、この限りでない。
第97条(運転免許試験の方法)
運転免許試験は、免許の種類ごとに次の各号(小型特殊免許及び原付免許の運転免許試験にあつては第一号及び第三号、牽引免許の運転免許試験にあつては第一号及び第二号)に掲げる事項について行なう。
一 自動車等の運転について必要な適性
二 自動車等の運転について必要な技能
三 自動車等の運転について必要な知識
2 前項第二号に掲げる事項について行なう普通免許の運転免許試験は、道路において行なうものとする。
3 第一項第三号に掲げる事項についての運転免許試験は、第百八条の規定により国家公安委員会が作成する教則の内容の範囲内で行なう。
4 前三項に規定するもののほか、運転免許試験の実施の手続、方法その他運転免許試験について必要な事項は、総理府令で定める。
第97条の2(運転免許試験の免除)
次の各号のいずれかに該当する者に対しては、政令で定めるところにより、運転免許試験の一部を免除する。
一 第九十九条の五第五項に規定する卒業証明書(同項後段に規定する技能検定員の書面による証明が付されているものに限る。)を有する者で当該卒業証明書に係る技能検定を受けた日から起算して一年を経過しないもの又は同項に規定する修了証明書(同項後段に規定する技能検定員の書面による証明が付されているものに限る。)を有する者で当該修了証明書に係る技能検定を受けた日から起算して三月を経過しないもの
二 第百一条第一項の免許証の有効期間の更新を受けなかつた者(政令で定める者を除く。)で、その者の免許が第百五条の規定により効力を失つた日から起算して六月(海外旅行、災害その他政令で定めるやむを得ない理由のため、その期間内に運転免許試験を受けることができなかつた者にあつては、当該事情がやんだ日から起算して一月)を経過しないもの
2 前項に定めるもののほか、免許を受けようとする者が自動車等の運転に関する外国の行政庁の免許を有する者であるときは、公安委員会は、政令で定めるところにより、その者が受けようとする免許に係る自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除することができる。
3 前二項に定めるもののほか、公安委員会は、政令で定める基準に従い、免許を受けようとする者が当該免許に係る自動車等を運転することが支障がないと認めたときは、運転免許試験の一部を免除することができる。
第97条の3(運転免許試験の停止等)
公安委員会は、不正の手段によつて運転免許試験を受け、又は受けようとした者に対しては、その運転免許試験を停止し、又は合格の決定を取り消すことができる。
2 前項の規定により合格の決定を取り消したときは、公安委員会は、その旨を直ちにその者に通知しなければならない。この場合において、当該運転免許試験に係る免許は、その通知を受けた日に効力を失うものとする。
3 公安委員会は、第一項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、一年以内の期間を定めて、運転免許試験を受けることができないものとすることができる。
第4節の2 自動車教習所
第98条(自動車教習所)
自動車教習所(免許を受けようとする者に対し、自動車の運転に関する技能及び知識について教習を行う施設をいう。以下同じ。)を設置し、又は管理する者は、当該自動車教習所において行う自動車の運転に関する教習の水準の維持向上に努めなければならない。
2 自動車教習所を設置し、又は管理する者は、総理府令で定めるところにより、当該自動車教習所の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を届け出ることができる。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 自動車教習所の名称及び所在地
三 前二号に掲げるもののほか、総理府令で定める事項
3 公安委員会は、前項の規定による届出をした自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、自動車の運転に関する教習の適正な水準を確保するため、当該自動車教習所における教習の機能に応じて、必要な指導又は助言をするものとする。
4 公安委員会は、前項の指導又は助言をした場合において、必要があると認めるときは、自動車安全運転センターに対し、当該指導又は助言に係る自動車教習所における自動車の運転に関する技能又は知識の教習を行う職員に対する研修その他当該職員の資質の向上を図るための措置について、必要な配慮を加えるよう求めることができる。
5 公安委員会は、総理府令で定めるところにより、第三項の指導又は助言をするため必要な限度において、第二項の規定による届出をした自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、必要な報告を求めることができる。
第99条(指定自動車教習所の指定)
公安委員会は、前条第二項の規定による届出をした自動車教習所のうち、職員、設備等に関する次に掲げる基準に適合するものを、当該自動車教習所を設置し、又は管理する者の申請に基づき、指定自動車教習所として指定することができる。
一 政令で定める要件を備えた当該自動車教習所を管理する者が置かれていること。
二 次条第四項の技能検定員資格者証の交付を受けており、同条第一項の規定により技能検定員として選任されることとなる職員が置かれていること。
三 第九十九条の三第四項の教習指導員資格者証の交付を受けており、同条第一項の規定により教習指導員として選任されることとなる職員が置かれていること。
四 自動車の運転に関する技能及び知識の教習並びに技能検定(自動車の運転に関する技能についての検定で、総理府令で定めるところにより行われるものをいう。以下同じ。)のための設備が政令で定める基準に適合していること。
五 当該自動車教習所の運営が政令で定める基準に適合していること。
2 公安委員会は、前項の申請に係る自動車教習所が第百条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないものであるときは、同項の規定による指定をしてはならない。
第99条の2(技能検定員)
指定自動車教習所を管理する者は、技能検定を行わせるため、技能検定員を選任しなければならない。
2 第四項の技能検定員資格者証の交付を受けていない者は、技能検定員となることができない。
3 技能検定員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
4 公安委員会は、次の各号のいずれにも該当する者に対し、技能検定員資格者証を交付する。
一 次のいずれかに該当する者
イ 公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより技能検定に関する技能及び知識に関して行う審査に合格した者
ロ 自動車安全運転センターが行う自動車の運転に関する研修の課程であつて国家公安委員会が指定するものを修了した者
ハ 公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより技能検定に関しイ又はロに掲げる者と同等以上の技能及び知識を有すると認める者
二 次のいずれにも該当しない者
イ 二十五歳未満の者
ロ 過去三年以内に第九十九条の五第五項に規定する卒業証明書又は修了証明書の発行に関し不正な行為をした者
ハ 第百十七条の三第二号の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
ニ 自動車等の運転に関し刑法第二百十一条の罪又はこの法律に規定する罪(第百十七条の三第二号の罪を除く。)を犯し禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
ホ 次項第二号又は第三号に該当して同項の規定により技能検定員資格者証の返納を命ぜられ、その返納の日から起算して三年を経過していない者
5 公安委員会は、前項の技能検定員資格者証の交付を受けた者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に係る技能検定員資格者証の返納を命ずることができる。
一 前項第二号ロからニまでに掲げる者のいずれかに該当するに至つたとき。
二 偽りその他不正の手段により技能検定員資格者証の交付を受けたとき。
三 技能検定員の業務に関し不正な行為をし、その情状が技能検定員として不適当であると認められるとき。
6 前二項に定めるもののほか、第四項の技能検定員資格者証に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。
第99条の3(教習指導員)
指定自動車教習所を管理する者は、自動車の運転に関する技能及び知識の教習を行わせるため、教習指導員を選任しなければならない。
2 第四項の教習指導員資格者証の交付を受けていない者は、教習指導員となることができない。
3 指定自動車教習所を管理する者は、自動車の運転に関する技能又は知識の教習を、教習指導員以外の者に行わせてはならない。
4 公安委員会は、次の各号のいずれにも該当する者に対し、教習指導員資格者証を交付する。
一 次のいずれかに該当する者
イ 公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより自動車の運転に関する技能及び知識の教習に関する技能及び知識に関して行う審査に合格した者
ロ 自動車安全運転センターが行う自動車の運転に関する研修の課程であつて国家公安委員会が指定するものを修了した者
ハ 公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより自動車の運転に関する技能及び知識の教習に関しイ又はロに掲げる者と同等以上の技能及び知識があると認める者
二 次のいずれにも該当しない者
イ 二十一歳未満の者
ロ 次項において準用する前条第五項第二号又は第三号に該当して次項において準用する同条第五項の規定により教習指導員資格者証の返納を命ぜられ、その返納の日から起算して三年を経過していない者
ハ 前条第四項第二号ロからニまでのいずれかに該当する者
5 前条第五項及び第六項の規定は、教習指導員資格者証について準用する。この場合において、同条第五項第三号中「技能検定員」とあるのは、「教習指導員」と読み替えるものとする。
第99条の4(職員に対する講習)
指定自動車教習所を管理する者は、公安委員会から当該指定自動車教習所の職員について第百八条の二第一項第八号に掲げる講習を行う旨の通知を受けたときは、当該職員に当該講習を受けさせなければならない。
第99条の5(技能検定)
指定自動車教習所を管理する者は、技能検定員に、総理府令で定めるところにより自動車の運転に関する技能及び知識の教習を終了した者に対し技能検定を行わせなければならない。
2 指定自動車教習所を管理する者は、技能検定員に、前項に規定する教習を終了した者以外の者に対し技能検定を行わせてはならない。
3 指定自動車教習所を管理する者は、技能検定員以外の者に技能検定を行わせてはならない。
4 技能検定員は、技能検定に合格した者について、その者が技能検定に合格した旨の証明をしなければならない。
5 指定自動車教習所は、技能検定員が前項の証明をしたときは、当該証明に係る者に対し、総理府令で定めるところにより、総理府令で定める様式の卒業証明書(指定自動車教習所において教習を終了した旨を証明する証明書をいう。以下同じ。)又は修了証明書(指定自動車教習所において教習を受け、仮免許を受けて運転することができる程度の技能及び知識の水準に達した旨を証明する証明書をいう。以下同じ。)を発行することができる。この場合において、当該卒業証明書又は修了証明書には、総理府令で定めるところにより、当該卒業証明書又は修了証明書に係る者が技能検定に合格した旨の技能検定員の書面による証明を付さなければならない。
第99条の6(報告及び検査)
公安委員会は、この節の規定を施行するため必要な限度において、指定自動車教習所を設置し、若しくは管理する者に対し、当該指定自動車教習所の業務に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に当該指定自動車教習所に立ち入り、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする警察職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第99条の7(適合命令等)
公安委員会は、指定自動車教習所が第九十九条第一項各号に掲げる基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該指定自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、当該指定自動車教習所を同項各号に掲げる基準に適合させるため必要な措置をとることを命ずることができる。
2 前項に定めるもののほか、公安委員会は、この節の規定を施行するため必要な限度において、指定自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、当該指定自動車教習所の業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第100条(指定自動車教習所の指定の取消し等)
公安委員会は、指定自動車教習所を管理する者が第九十九条の三第三項、第九十九条の四若しくは第九十九条の五第二項若しくは第三項の規定に違反したとき、指定自動車教習所が同条第五項の規定に違反して卒業証明書若しくは修了証明書を発行したとき、又は指定自動車教習所を設置し、若しくは管理する者が前条の規定による命令に違反したときは、当該指定自動車教習所に対し、その指定を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該指定自動車教習所が当該期間内における教習に基づき卒業証明書若しくは修了証明書を発行することを禁止することができる。
2 公安委員会は、前項の規定による卒業証明書又は修了証明書の発行の禁止の処分を受けた指定自動車教習所が当該処分に違反して卒業証明書又は修了証明書を発行したときは、その指定を取り消し、又は六月を超えない範囲内で卒業証明書若しくは修了証明書を発行することを禁止する期間を延長することができる。
第4節の3 再試験
第100条の2(再試験)
公安委員会は、普通免許、二輪免許又は原付免許を受けた者で、当該免許を受けた日から当該免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達することとなる日までの間(以下「初心運転者期間」という。)に第八十五条第二項の規定により当該免許について同条第一項の表の区分に従い運転することができる自動車等(以下「免許自動車等」という。)の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為をし、当該行為が当該免許について政令で定める基準に該当することとなつたもの(以下「基準該当初心運転者」という。)に対し、その者が免許自動車等を安全に運転するために必要な能力を現に有するかどうかを確認するための試験(以下「再試験」という。)を行うものとする。ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
一 当該免許を受けた日前六月以内に当該免許に係る免許自動車等を運転することができる他の種類の免許(仮免許を除く。第三号において「上位免許」という。)を受けていたことがある者
二 当該免許を受けた日前六月以内に当該免許と同一の種類の免許(当該免許と同等の免許として政令で定めるものを含み、第百四条の二第一項、第二項又は第四項の規定により取り消された免許及びこれに準ずるものとして政令で定める免許を除く。)を受けていたことがあり、かつ、その免許を受けていた期間(その免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年以上である者
三 当該免許を受けた日以後に上位免許を受けた者
四 第百八条の二第一項第五号に規定する講習を終了した者(当該講習を終了した後初心運転者期間が経過することとなるまでの間に免許自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為をし、当該行為が当該講習に係る免許について政令で定める基準に該当することとなる者を除く。)
2 再試験は、基準該当初心運転者の当該免許に係る初心運転者期間が経過した時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会が、当該期間が経過した後、免許の種類ごとに自動車等の運転について必要な技能及び知識(原付免許にあつては必要な知識に限る。)について行う。
3 第九十七条第二項から第四項までの規定は、公安委員会が行う再試験について準用する。
4 公安委員会は、第一項の規定に基づき再試験を行おうとする場合には、総理府令で定めるところにより、基準該当初心運転者の当該免許に係る初心運転者期間が経過した後速やかに、再試験を行う旨及びその理由その他必要な事項を基準該当初心運転者に書面で通知しなければならない。
5 基準該当初心運転者は、公安委員会から再試験の通知(前項の規定による通知をいう。以下同じ。)を受けたときは、当該通知を受けた日の翌日から起算した期間(再試験を受けないことについて政令で定めるやむを得ない理由のある者にあつては、当該期間から当該事情の存する期間を除いた期間)が通算して一月を超えることとなるまでに、当該公安委員会に総理府令で定める再試験受験申込書を提出して、再試験を受けなければならない。第九十二条の二第二項の規定は、この場合について準用する。
第100条の3
公安委員会は、再試験を行おうとする場合において、基準該当初心運転者がその住所を他の公安委員会の管轄区域内に変更していたときは、速やかに現にその者の住所地を管轄する公安委員会に総理府令で定める試験移送通知書を送付しなければならない。
2 前項の試験移送通知書が当該公安委員会に送付されたときは、当該公安委員会は、当該試験移送通知書に係る基準該当初心運転者に対し、再試験を行うものとする。この場合において、前項の試験移送通知書を送付した公安委員会は、当該基準該当初心運転者に対し、再試験を行うことができない。
3 前条第四項及び第一項の規定は、公安委員会が前項の規定により再試験を行おうとする場合について準用する。この場合において、同条第四項中「基準該当初心運転者の当該免許に係る初心運転者期間が経過した後」とあるのは、「試験移送通知書の送付を受けた後」と読み替えるものとする。
4 公安委員会が第二項の規定により再試験を行おうとする場合において、第一項の試験移送通知書を送付した公安委員会が当該試験移送通知書に係る基準該当初心運転者に再試験の通知をしているときは、当該通知は、第二項の規定により再試験を行おうとする公安委員会がした再試験の通知とみなす。
第5節 免許証の更新等
第101条(免許証の更新及び定期検査)
免許証の有効期間の更新(以下「免許証の更新」という。)を受けようとする者は、当該免許証の有効期間が満了する日(その日がその者の誕生日でないときは、その日の直前のその者の誕生日)の一月前から当該免許証の有効期間が満了する日までの間(以下「更新期間」という。)に、その者の住所地を管轄する公安委員会が行う自動車等の運転について必要な適性検査(以下「適性検査」という。)を受けなければならない。
2 前項の規定により免許証の更新を受けようとする者の誕生日が二月二十九日である場合における同項の規定の適用については、その者のうるう年以外の年における誕生日は二月二十八日であるものとみなす。
3 第一項の適性検査の結果、当該免許証の更新を受けようとする者が自動車等を運転することが支障がないと認めたときは、当該公安委員会は、当該免許証の更新をしなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、免許証の更新の申請及び適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第十五号)
第101条の2(免許証の更新の特例)
海外旅行その他政令で定めるやむを得ない理由のため更新期間内に適性検査を受けることが困難であると予想される者は、その者の住所地を管轄する公安委員会に当該更新期間前における免許証の更新を申請することができる。
2 前項の申請があつたときは、当該公安委員会は、その者について、速やかに適性検査を行わなければならない。
3 前項の適性検査の結果、当該免許証の更新を受けようとする者が自動車等を運転することが支障がないと認めたときは、当該公安委員会は、速やかに当該免許証の更新をしなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、更新期間前における免許証の更新の申請及び適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
第101条の3(更新を受けようとする者の義務)
免許証の更新を受けようとする者は、第百八条の二第一項第十号に掲げる講習を受けなければならない。ただし、当該講習を受ける必要がないものとして政令で定める者は、この限りでない。
2 公安委員会は、第百一条第一項又は前条第二項の適性検査の結果自動車等を運転することが支障がないと認めた者(前項ただし書の政令で定める者を除く。)が前項の講習を受けていないときは、第百一条第三項又は前条第三項の規定にかかわらず、その者に対し、免許証の更新をしないことができる。
第102条(臨時適性検査)
公安委員会は、免許を受けた者が第八十八条第一項第二号、第三号若しくは第四号のいずれかに該当する者となり、又は次条第二項第一号に該当することとなつたと疑う理由があるときは、当該免許を受けた者につき、臨時に適性検査を行うことができる。
2 前項に定めるもののほか、公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、免許を受けた者について、臨時に適性検査を行うことができる。
3 公安委員会は、前二項の規定により適性検査を行おうとするときは、あらかじめ、適性検査を行う期日、場所その他必要な事項を当該適性検査に係る者に通知しなければならない。
4 前項の規定により通知を受けた者は、通知された期日に通知された場所に出頭して適性検査を受けなければならない。
5 前各項に定めるもののほか、第一項及び第二項の規定による適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
第6節 免許の取消し、停止等
第103条(免許の取消し、停止等)
免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する者になつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当する者となつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、その者の免許を取り消さなければならない。
2 免許を受けた者が、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。
一 第八十八条第一項第三号に該当するに至らない程度の身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたとき。
二 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。
三 前二号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
3 公安委員会は、前二項の規定により免許を取り消し、又は免許の効力を九十日(公安委員会が九十日をこえない範囲内で期間を定めたときは、その期間)以上停止しようとする場合において、当該処分に係る者がその住所を他の公安委員会の管轄区域内に変更していたときは、当該処分に係る事案に関する第百四条第一項の聴聞を終了している場合を除き、すみやかに現にその者の住所地を管轄する公安委員会に総理府令で定める処分移送通知書を送付しなければならない。
4 前項の処分移送通知書が当該公安委員会に送付されたときは、当該公安委員会は、その者が第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する場合にあつては、その者の免許を取り消さなければならず、その者が第二項各号のいずれかに該当する場合にあつては、同項の政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月をこえない範囲内において期間を定めて免許の効力を停止することができるものとし、処分移送通知書を送付した公安委員会は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、当該事案について、その者の免許を取り消し、又は免許の効力を停止することができないものとする。
5 第三項の規定は、公安委員会が前項の規定により免許を取り消し、又は免許の効力を停止しようとする場合について準用する。
6 公安委員会は、第二項第二号又は第三号に該当することを理由として同項又は第四項の規定により免許を取り消したときは、政令で定める基準に従い、一年以上三年をこえない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
7 第一項、第二項又は第四項の規定により免許を取り消され、又は免許の効力の停止を受けた時におけるその者の住所が当該処分をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にあるときは、当該処分をした公安委員会は、すみやかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
8 公安委員会は、第二項又は第四項の規定による免許の効力の停止を受けた者(第八十八条第一項第三号に該当するに至らない程度の身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じた者を除く。)が第百八条の二第一項第三号に規定する講習を終了したときは、政令で定める範囲内で、その者の免許の効力の停止の期間を短縮することができる。
第103条の2(免許の効力の仮停止)
免許を受けた者が自動車等の運転に関し次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該交通事故を起こした場所を管轄する警察署長は、その者に対し、当該交通事故を起こした日から起算して二十日を経過する日を終期とする免許の効力の停止(以下この条において「仮停止」という。)をすることができる。
一 交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合において、第百十七条の違反行為をしたとき。
二 第百十七条の二第一号若しくは第一号の二又は第百十八条第一項第一号若しくは第五号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけたとき。
三 第百十八条第一項第二号、第二号の二若しくは第三号又は第百十九条第一項第一号から第二号の二まで、第三号の二、第五号、第七号の二、第九号の二若しくは第十五号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させたとき。
2 警察署長は、仮停止をしたときは、当該処分をした日から起算して五日以内に、当該処分を受けた者に対し弁明の機会を与えなければならない。
3 仮停止を受けた者は、免許証を当該処分をした警察署長に提出しなければならない。
4 仮停止をした警察署長は、速やかに、当該処分を受けた者が第一項各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会に対し、総理府令で定める仮停止通知書及び前項の規定により提出を受けた免許証を送付しなければならない。
5 前項の仮停止通知書及び免許証の送付を受けた公安委員会は、当該事案について前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により処分移送通知書を送付するときは、併せて当該送付を受けた仮停止通知書及び免許証を送付しなければならない。
6 仮停止は、第四項又は前項の規定により仮停止通知書及び免許証の送付を受けた公安委員会が当該仮停止の期間内に当該事案について前条第二項又は第四項の規定による処分をしたときは、その効力を失う。
7 仮停止を受けた者が当該事案について前条第二項又は第四項の規定により免許の効力の停止を受けたときは、仮停止をされていた期間は、当該免許の効力の停止の期間に通算する。
(罰則 第三項については第百二十一条第一項第九号)
第104条(意見の聴取)
公安委員会は、第百三条第二項第二号の規定により免許を取り消し、又は免許の効力を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは、その期間。次条第一項において同じ。)以上停止しようとするとき、又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の処分移送通知書(同条第二項第二号に係るものに限る。)の送付を受けたときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、公安委員会は、意見の聴取の期日の一週間前までに、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し、かつ、意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
2 意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
3 意見の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、公安委員会は、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。
4 公安委員会は、当該処分に係る者又はその代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該処分に係る者の所在が不明であるため第一項の通知をすることができず、かつ、同項後段の規定による公示をした日から三十日を経過してもその者の所在が判明しないときは、同項の規定にかかわらず、意見の聴取を行わないで第百三条第二項又は第四項の規定による免許の取消し又は効力の停止(同条第二項第二号に係るものに限る。)をすることができる。
5 前各項に定めるもののほか、意見の聴取の実施について必要な事項は、政令で定める。
第104条の2(聴聞の特例)
公安委員会は、第百三条第二項又は第四項の規定により免許の効力を九十日以上停止しようとするとき(同条第二項第二号に係る場合を除く。)は、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
2 公安委員会は、前項の聴聞又は第百三条第一項の規定による免許の取消し若しくは同条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し(同条第二項第二号に係るものを除く。)に係る聴聞を行うに当たつては、その期日の一週間前までに、行政手続法第十五条第一項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 前項の通知を行政手続法第十五条第三項に規定する方法によつて行う場合においては、同条第一項の規定により聴聞の期日までにおくべき相当な期間は、二週間を下回つてはならない。
4 第二項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
5 第二項の聴聞の主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。
第104条の2の2(再試験に係る取消し)
再試験を行つた公安委員会は、再試験の結果、再試験を受けた者が免許自動車等を安全に運転するために必要な能力を現に有しないと認めるときは、その者の当該免許を取り消さなければならない。
2 再試験の通知を受けた者が第百条の二第五項の規定に違反して再試験を受けないと認めるときは、その者の住所地を管轄する公安委員会は、その者の当該免許を取り消さなければならない。
3 公安委員会は、前項の規定により当該免許を取り消そうとする場合において、当該処分に係る者がその住所を他の公安委員会の管轄区域内に変更していたときは、当該処分に関する第六項において準用する第百四条の意見の聴取を終了している場合を除き、速やかに現にその者の住所地を管轄する公安委員会に総理府令で定める処分移送通知書を送付しなければならない。
4 前項の処分移送通知書の送付を受けた公安委員会は、その者が第百条の二第五項の規定に違反して当該再試験を受けないと認めるときは、その者の当該免許を取り消さなければならない。この場合において、処分移送通知書を送付した公安委員会は、第二項の規定にかかわらず、その者の当該免許を取り消すことができない。
5 第三項の規定は、公安委員会が前項の規定により免許を取り消そうとする場合について準用する。
6 第百四条(第三項を除く。)の規定は、第二項又は第四項の規定により免許を取り消す場合について準用する。
7 第一項、第二項又は第四項の規定により当該免許を取り消された時におけるその者の住所が当該処分をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にあるときは、当該処分をした公安委員会は、速やかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
第104条の3(免許の取消し又は効力の停止に係る書面の交付等)
第百三条第一項、第二項若しくは第四項又は前条第一項、第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し又は効力の停止は、総理府令で定めるところにより、当該取消し又は効力の停止に係る者に対し当該取消し又は効力の停止の内容及び理由を記載した書面を交付して行うものとする。
2 公安委員会がその者の所在が不明であることその他の理由により前項の規定による書面の交付をすることができなかつた場合において、警察官が当該書面の交付を受けていない者の所在を知つたときは、警察官は、総理府令で定めるところにより、その者に対し、日時及び場所を指定して当該書面の交付を受けるために出頭すべき旨を命ずることができる。
3 警察官は、前項の規定による命令をするときは、総理府令で定めるところにより、当該命令に係る者に対し、当該命令に係る取消し又は効力の停止に係る免許証の提出を求め、これを保管することができる。この場合において、警察官は、当該命令に係る者に対し、保管証を交付しなければならない。
4 警察官は、第二項の規定による命令をしたときは、総理府令で定めるところにより、速やかに、当該命令に係る者の氏名及び住所、当該命令に係る出頭すべき日時及び場所その他必要な事項を当該命令に係る者の住所地を管轄する公安委員会(その者に対し第一項に規定する免許の取消し又は効力の停止をした公安委員会とその者の住所地を管轄する公安委員会が異なる場合にあつては、それぞれの公安委員会)に通知しなければならない。この場合において、警察官は、前項の規定により免許証を保管したときは、当該保管した免許証をその者の住所地を管轄する公安委員会に送付しなければならない。
5 前項の規定による免許証の送付を受けた公安委員会は、当該免許証に係る免許の効力の停止の期間が満了した場合において、第三項の規定により当該免許証を提出した者から返還の請求があつたときは、直ちに当該免許証を返還しなければならない。
6 第三項の保管証は、第九十五条の規定の適用については、免許証とみなす。
7 第三項の保管証の有効期間は、当該保管証を交付した時から、当該保管証の交付を受けた者が第二項の規定により指定された日時(その日時までにその者が同項の規定により指定された場所に出頭したときは、その出頭した時)までの間とする。
8 第三項の規定により保管証の交付を受けた者は、当該保管証の有効期間が満了したときは、直ちに当該保管証を警察官に返納しなければならない。
9 第三項の保管証の記載事項その他同項の保管証に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第105条(免許の失効)
免許は、免許を受けた者が免許証の更新を受けなかつたときは、その効力を失う。
第106条(国家公安委員会への報告)
公安委員会は、第九十条第一項本文の規定により免許を与え、第百一条第三項若しくは第百一条の二第三項の規定により免許証の更新をし、若しくは第九十条第一項ただし書、第三項若しくは第四項、第九十七条の三第三項、第百三条第一項、第二項、第四項、第六項若しくは第八項若しくは第百四条の二の二第一項、第二項若しくは第四項の規定による処分をしたとき、警察署長が第百三条の二第一項の規定による処分をしたとき、又は自動車等の運転者が自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(総理府令で定める場合に限る。)、第百条の二第一項の規定による再試験を受けたとき、若しくは第百八条の二第一項第九号に掲げる講習を受けたとき、その他自動車等の運転者について自動車等の運転に関し総理府令で定める事由が生じたときは、総理府令で定める事項を国家公安委員会に報告しなければならない。この場合において、国家公安委員会は、免許に関する事務の適正を図るため、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとする。
第106条の2(仮免許の取消し)
仮免許を受けた者が第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する者になつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当する者となつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、その者の仮免許を取り消さなければならない。
2 仮免許を受けた者が第百三条第二項第一号又は第二号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の仮免許を取り消すことができる。
第107条(免許証の返納等)
免許を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、すみやかに、免許証(第三号の場合にあつては、発見し、又は回復した免許証)をその者の住所地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 免許が取り消されたとき。
二 免許が失効したとき。
三 免許証の再交付を受けた後において亡失した免許証を発見し、又は回復したとき。
2 第百四条の二の二第一項、第二項又は第四項の規定により免許を取り消された者がなお他の種類の免許を受けている場合において、前項の規定により免許証を返納したときは、公安委員会は、当該他の種類の免許に係る免許証を交付するものとする。
3 免許を受けた者は、第九十条第三項又は第百三条第二項若しくは第四項の規定により免許の効力が停止されたときは、すみやかに、免許証をその者の住所地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。
4 前項の規定により免許証の提出を受けた公安委員会又は第百三条の二第四項若しくは第六項の規定により免許証の送付を受けた公安委員会は、当該免許証に係る免許の効力の停止の期間が満了した場合においてその提出者から返還の請求があつたときは、直ちに当該免許証を返還しなければならない。
(罰則 第一項及び第三項については第百二十一条第一項第九号)
第7節 国際運転免許証及び外国運転免許証並びに国外運転免許証
第107条の2(国際運転免許証又は外国運転免許証所持する者の自動車等の運転)
道路交通に関する条約(以下「条約」という。)第二十四条第一項の運転免許証(第百七条の七第一項の国外運転免許証を除く。)で条約附属書九又は条約附属書十に定める様式に合致したもの(以下この条において「国際運転免許証」という。)又は自動車等の運転に関する外国(国際運転免許証を発給していない国であつて、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許の制度を有している国として政令で定めるものに限る。)の行政庁の免許に係る運転免許証(日本語による翻訳文で政令で定める者が作成したものが添付されているものに限る。以下この条において「外国運転免許証」という。)を所持する者(第八十八条第一項第五号から第七号までのいずれかに該当する者を除く。)は、第六十四条の規定にかかわらず、本邦に上陸した日から起算して一年間、当該国際運転免許証又は外国運転免許証(以下「国際運転免許証等」という。)で運転することができることとされている自動車等を運転することができる。ただし、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転し、又は牽引自動車によつて旅客用車両を牽引して当該牽引自動車を運転する場合は、この限りでない。
第107条の3(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)
国際運転免許証等を所持する者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る国際運転免許証等を携帯していなければならない。第九十五条第二項の規定は、この場合について準用する。
(罰則 前段については第百二十一条第一項第十号、同条第二項 後段については第百二十条第一項第九号)
第107条の4(臨時適性検査)
公安委員会は、国際運転免許証等を所持する者について、当該国際運転免許証等に係る発給の条件が満たされなくなつたと疑う理由があるとき(その者が第八十八条第一項第二号、第三号若しくは第四号のいずれかに該当する者となり、又は第百三条第二項第一号に該当することとなつたと疑う理由があるときに限る。)は、臨時に適性検査を行うことができる。この場合において、公安委員会は、あらかじめ、適性検査を行う期日、場所その他必要な事項をその者に通知しなければならない。
2 前項後段の規定による通知を受けた者は、通知された期日に通知された場所に出頭して適性検査を受けなければならない。
3 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、第一項の適性検査を受けた者に対し、運転をするに当たつてその者の身体の状態に応じた必要な措置をとることを命ずることができる。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第三項については第百十九条第一項第十五号)
第107条の5(自動車等の運転禁止等)
国際運転免許証等を所持する者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、三年を超えない範囲内で期間を定めてその者に対し、当該国際運転免許証等に係る自動車等の運転を禁止することができる。
一 国際運転免許証等の発給の条件が満たされなくなつたことが明らかになつたとき(その者が第八十八条第一項第二号、第三号若しくは第四号のいずれかに該当する者になつたとき、又は同項第三号に該当するに至らない程度の身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたときに限る。)。
二 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。
2 第百三条第八項の規定は、前項の規定又は第八項において準用する第百三条第四項の規定による自動車等の運転の禁止を受けた者について準用する。この場合において、同条第八項中「その者の免許の効力の停止の期間」とあるのは、「その者の自動車等の運転の禁止の期間」と読み替えるものとする。
3 第百四条の規定は公安委員会が第一項第二号に該当して同項の規定により自動車等の運転を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは、その期間。以下この項において同じ。)以上禁止しようとする場合及び第八項において準用する第百三条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の処分移送通知書(第一項第二号に係るものに限る。)の送付を受けた場合について、第百四条の二の規定は公安委員会が第一項第一号に該当して同項の規定により自動車等の運転を九十日以上禁止しようとする場合及び第八項において準用する第百三条第三項の処分移送通知書(第一項第一号に係るものに限る。)の送付を受けた場合について準用する。この場合において、第百四条第四項中「第百三条第二項又は第四項の規定による免許の取消し又は効力の停止(同条第二項第二号に係るものに限る。)をする」とあるのは「第百七条の五第一項又は同条第八項において準用する第百三条第四項の規定による自動車等の運転の禁止(第百七条の五第一項第二号に係るものに限る。)をする」と、第百四条の二第二項中「前項の聴聞又は第百三条第一項の規定による免許の取消し若しくは同条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し(同条第二項第二号に係るものを除く。)に係る聴聞」とあるのは「前項の聴聞」と読み替えるものとする。
4 国際運転免許証等を所持する者は、第一項の規定により、又は第八項において準用する第百三条第四項の規定により自動車等の運転を禁止されたときは、速やかに、国際運転免許証等をその者の住所地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。
5 前項の規定により国際運転免許証等の提出を受けた公安委員会又は第九項において準用する第百三条の二第四項若しくは第五項の規定により国際運転免許証等の送付を受けた公安委員会は、当該処分の期間が満了する時又は当該処分に係る者が本邦から出国する時のいずれか早い時においてその提出者から返還の請求があつたときは、直ちに当該国際運転免許証等を返還しなければならない。
6 第一項の規定により、若しくは第八項において準用する第百三条第四項の規定により、又は第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により自動車等の運転を禁止された者は、当該処分の期間中に本邦から出国した後に再び本邦に上陸したときは、速やかに、国際運転免許証等をその者の住所地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。前項の規定は、この場合について準用する。
7 公安委員会は、第一項の規定により、若しくは次項において準用する第百三条第四項の規定により自動車等の運転を禁止し、又は第二項において準用する第百三条第八項の規定により期間を短縮したときは、総理府令で定めるところにより、当該処分に係る者の国際運転免許証等に当該処分に係る事項を記載しなければならない。
8 第百三条第三項から第五項まで及び第七項の規定は、第一項の規定により自動車等の運転を禁止する場合について準用する。この場合において、同条第四項中「第八十八条第一項第二号、第三号又は第四号のいずれかに該当する場合にあつては、その者の免許を取り消さなければならず、その者が第二項各号のいずれかに該当する場合にあつては、同項の政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内において期間を定めて免許の効力を停止することができる」とあるのは「第百七条の五第一項各号のいずれかに該当するものであるときは、同項の政令で定める基準に従い、三年を超えない範囲内で期間を定めて、その者に対し、当該国際運転免許証等に係る自動車等の運転を禁止することができる」と、「第一項及び第二項の規定」とあるのは「第百七条の五第一項の規定」と読み替えるものとする。
9 第百三条の二の規定は、国際運転免許証等を所持する者が自動車等の運転に関し同条第一項各号のいずれかに該当することとなつた場合について準用する。この場合において、同条中「免許の効力の停止」とあるのは「自動車等の運転の禁止」と、「仮停止」とあるのは「仮禁止」と、「免許証」とあるのは「国際運転免許証等」と、「仮停止通知書」とあるのは「仮禁止通知書」と、同条第五項中「前条第三項」とあるのは「第百七条の五第八項において準用する前条第三項」と、同条第六項及び第七項中「前条第二項又は第四項の規定」とあるのは「第百七条の五第一項の規定又は同条第八項において準用する前条第四項の規定」と読み替えるものとする。
10 第百四条の三の規定は、第一項の規定又は第八項において準用する第百三条第四項の規定により自動車等の運転の禁止をした場合について準用する。この場合において、第百四条の三中「免許証」とあるのは「国際運転免許証等」と、同条第五項中「免許の効力の停止の期間が満了した場合」とあるのは「自動車等の運転の禁止の期間が満了した場合又は当該禁止に係る者が本邦から出国する場合」と、同条第六項中「第九十五条」とあるのは「第百七条の三前段の規定及び同条後段において準用する第九十五条第二項」と読み替えるものとする。
(罰則 第四項、第六項及び第九項については第百二十一条第一項第九号)
第107条の6(自動車等の運転禁止等の報告)
公安委員会は、前条第一項の規定により、若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定により自動車等の運転を禁止したとき、前条第二項において準用する第百三条第八項の規定により期間を短縮したとき、又は警察署長が前条第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により自動車等の運転を禁止したときは、総理府令で定める事項を国家公安委員会に報告しなければならない。
第107条の7(国外運転免許証の交付)
免許(小型特殊免許、原付免許及び仮免許を除く。)を現に受けている者(第九十条第三項、第百三条第二項若しくは第四項又は第百三条の二第一項の規定により免許の効力が停止されている者を除く。)は、総理府令で定める区分に従い、当該免許で運転することができることとされている自動車等に対応する条約附属書十に規定する自動車等に係る条約第二十四条第一項の運転免許証で公安委員会が発給するもの(以下「国外運転免許証」という。)の交付を受けることができる。
2 国外運転免許証の交付を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する公安委員会に、その者が外国に渡航するものであることを証する書面を添えて、総理府令で定める様式の交付申請書を提出しなければならない。
3 公安委員会は、前項の申請があつたときは、運転することができる自動車等の種類を指定し、かつ、その旨を記載して当該国外運転免許証を交付するものとする。
4 前三項に規定するもののほか、国外運転免許証の様式その他国外運転免許証の交付について必要な事項は、総理府令で定める。
第107条の8(国外運転免許証の有効期間)
国外運転免許証の有効期間は、当該国外運転免許証の発給の日から起算して一年とする。
第107条の9(国外運転免許証の失効)
国外運転免許証は、当該国外運転免許証に係る免許が失効し、又は取り消されたときは、その効力を失う。
2 国外運転免許証は、当該国外運転免許証に係る免許の効力が停止されたときは、当該停止の期間、その効力が停止されるものとする。
第107条の10(国外運転免許証の返納等)
国外運転免許証の交付を受けた者は、当該国外運転免許証の有効期間が満了し、又は当該国外運転免許証が失効したとき(当該国外運転免許証の有効期間が満了した時又は当該国外運転免許証が失効した時に本邦外の地域にある者については、本邦に帰国したとき。)は、すみやかに、当該国外運転免許証をその住所地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
2 国外運転免許証の交付を受けた者は、当該国外運転免許証の効力が停止されたとき(当該国外運転免許証の効力が停止された時に本邦外の地域にあり、かつ、当該国外運転免許証の効力の停止の期間中に本邦に帰国した者については、帰国したとき。)は、すみやかに、当該国外運転免許証をその者の住所地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。
3 前項の規定により国外運転免許証の提出を受けた公安委員会は、当該国外運転免許証の効力の停止の期間が満了した場合においてその提出者から返還の請求があつたときは、直ちに当該国外運転免許証を返還しなければならない。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十一条第一項第九号)
第8節 免許関係事務の委託
第107条の11(免許関係事務の委託)
公安委員会は、政令で定めるところにより、この章に規定する免許に関する事務(免許の拒否及び保留、免許の条件の付与及び変更、運転免許試験及び適性検査の結果の判定並びに免許の取消し及び効力の停止に係る事務その他の政令で定める事務を除く。次項において「免許関係事務」という。)の全部又は一部を総理府令で定めた法人に委託することができる。
2 前項の規定により免許関係事務の委託を受けた法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、当該委託に係る免許関係事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(罰則 第二項については第百十七条の三第三号)
第6章の2 講習等
第108条(交通の方法に関する教則の作成)
国家公安委員会は、道路を通行する者が適正な交通の方法を容易に理解することができるようにするため、次に掲げる事項を内容とする教則を作成し、これを公表するものとする。
一 法令で定める道路の交通の方法
二 道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は道路の交通に起因する障害を防止するため、道路を通行する者が励行することが望ましい事項
三 前二号に掲げるもののほか、自動車の構造その他自動車又は原動機付自
転車の運転に必要な知識
第108条の2(講習)
公安委員会は、総理府令で定めるところにより、次に掲げる講習を行うものとする。
一 安全運転管理者等に対する講習
二 第九十条第一項ただし書の規定による免許の拒否、同条第三項若しくは第百三条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し又は第百七条の五第一項の規定若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定による六月を超える期間の自動車等の運転の禁止を受けた者(同条第二項第一号又は第百七条の五第一項第一号に該当することを理由としてこれらの処分を受けた者を除く。)に対する講習
三 第九十条第一項ただし書の規定による免許の保留、同条第三項若しくは第百三条第二項若しくは第四項の規定による免許の効力の停止又は第百七条の五第一項の規定若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定による六月を超えない範囲内の自動車等の運転の禁止を受けた者(同条第二項第一号又は第百七条の五第一項第一号に該当することを理由としてこれらの処分を受けた者を除く。)に対する講習
四 普通免許を受けようとする者に対する普通自動車の運転に関する講習
五 大型二輪免許を受けようとする者に対する大型自動二輪車の運転に関する講習
六 普通二輪免許を受けようとする者に対する普通自動二輪車の運転に関する講習
七 普通免許、大型二輪免許又は普通二輪免許を受けようとする者に対する応急救護処置(交通事故の現場においてその負傷者を救護するため必要な応急の処置をいう。)に関する講習
八 原付免許を受けようとする者に対する原動機付自転車の運転に関する講習
九 指定自動車教習所の政令で定める職員に対する講習
十 基準該当初心運転者(免許の効力が停止されている者を除く。)に対する免許の種類ごとに行う当該免許自動車等の運転について必要な技能及び知識に関する講習
十一 免許証の更新を受けようとする者に対する講習
2 公安委員会は、前項各号に掲げるもののほか、車両の運転に関する技能及び知識の向上を図るため車両の運転者に対する講習を行うように努めなければならない。
3 公安委員会は、総理府令で定める者に第一項第一号、第三号から第八号まで若しくは第十号に掲げる講習又は前項に規定する講習の実施を委託することができる。
第108条の3(初心運転者講習の手続)
公安委員会は、総理府令で定めるところにより、基準該当初心運転者に対し、その者が第百条の二第一項に規定する行為をし、当該行為が同項本文の政令で定める基準に該当することとなつた後速やかに、前条第一項第九号に掲げる講習(以下「初心運転者講習」という。)を受けることができる旨を書面で通知するものとする。
2 前項の通知を受けた者は、当該通知を受けた日の翌日から起算した期間(講習を受けないことについて政令で定めるやむを得ない理由がある者にあつては、当該期間から当該事情の存する期間を除いた期間)が通算して一月を超えることとなるまでの間に限り、初心運転者講習を受けることができる。
第108条の4(指定講習機関)
公安委員会は、次の各号に掲げる講習を、それぞれ当該各号に定める要件に該当すると認められるものとして指定する者(以下「指定講習機関」という。)に行わせることができる。
一 第百八条の二第一項第二号に掲げる講習(以下この条及び次条第一項において「取消処分者講習」という。)自動車等の運転に必要な適性に関する調査及びこれに基づく指導(次条において「運転適性指導」という。)について専門的知識を有する者として国家公安委員会規則で定める者(次条において「運転適性指導員」という。)が置かれていることその他取消処分者講習を適正かつ確実に行うために必要なものとして国家公安委員会規則で定める基準に適合すること。
二 初心運転者講習 自動車等の運転に必要な技能及び知識に関する指導(次条において「運転習熟指導」という。)について高度の能力を有する者として国家公安委員会規則で定める者(次条において「運転習熟指導員」という。)が置かれていることその他初心運転者講習を適正かつ確実に行うために必要なものとして国家公安委員会規則で定める基準に適合すること。
2 前項の規定による指定は、取消処分者講習又は初心運転者講習(以下「特定講習」という。)を行おうとする者の申請により行う。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、第一項の規定による指定を受けることができない。
一 民法第三十四条の規定により設立された法人又は指定自動車教習所として指定された者以外の者
二 第百八条の十一第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 自動車等の運転に関し刑法第二百十一条の罪又はこの法律に規定する罪を犯し禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 法人で、その役員のうちに前号に該当する者があるもの
4 公安委員会は、第一項の規定による指定をしたときは、当該指定に係る特定講習を行わないことができる。
第108条の5(運転適性指導員等)
取消処分者講習を行う指定講習機関は、運転適性指導には、運転適性指導員以外の者を従事させてはならない。
2 初心運転者講習を行う指定講習機関は、運転習熟指導には、運転習熟指導員以外の者を従事させてはならない。
3 公安委員会は、運転適性指導員又は運転習熟指導員が運転適性指導又は運転習熟指導について不正な行為をしたときは、当該指定講習機関に対し、その選任に係る当該運転適性指導員又は運転習熟指導員の解任を命ずることができる。
第108条の6(講習業務規程)
指定講習機関は、特定講習の開始前に、特定講習の業務に関する規程(次項において「講習業務規程」という。)を定め、公安委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 講習業務規程で定めるべき事項は、国家公安委員会規則で定める。
第108条の7(秘密保持義務等)
指定講習機関の役員(法人でない指定自動車教習所にあつては当該施設を設置する者。次項において同じ。)若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、特定講習の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 特定講習の業務に従事する指定講習機関の役員又は職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(罰則第一項については第百十七条の三第三号)
第108条の8(適合命令等)
公安委員会は、指定講習機関が第百八条の四第一項各号に規定する基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該指定講習機関に対し、同項各号に規定する基準に適合するため必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
2 公安委員会は、前項に定めるもののほか、特定講習を適正かつ確実に行うことを確保するため必要があると認めるときは、指定講習機関に対し、特定講習の業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第108条の9(検査等)
公安委員会は、指定講習機関について、第百八条の四第一項各号に規定する基準に適合しているかどうか、又は第百八条の五第一項若しくは第二項の規定に従い運営されているかどうかを検査し、及び指定講習機関に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。
第108条の10(講習の休廃止)
指定講習機関は、公安委員会の許可を受けなければ、特定講習の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
第108条の11(指定の取消し)
公安委員会は、指定講習機関が第百八条の四第三項第一号、第三号又は第四号のいずれかに該当する者になつたときは、その指定を取り消さなければならない。
2 公安委員会は、指定講習機関が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その指定を取り消すことができる。
一 第百八条の五第一項若しくは第二項、第百八条の六第一項又は前条の規定に違反したとき。
二 第百八条の五第三項又は第百八条の八第一項若しくは第二項の規定による命令に違反したとき。
第108条の12(国家公安委員会規則への委任)
第百八条の四から前条までに規定するもののほか、指定講習機関に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。
第6章の3 交通事故調査分析センター
第108条の13(指定等)
国家公安委員会は、交通事故の防止及び交通事故による被害の軽減に資するための調査研究等を行うことにより道路における交通の安全と円滑に寄与することを目的として設立された民法第三十四条の法人であつて、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、全国に一を限つて、交通事故調査分析センター(以下この章において「分析センター」という。)として指定することができる。
2 国家公安委員会は、前項の規定による指定をしたときは、分析センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 分析センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようするときは、あらかじめ、その旨を国家公安委員会に届け出なければならない。
4 国家公安委員会は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を公示しなければならない。
第108条の14(事業)
分析センターは、次に掲げる事業を行うものとする。
一 交通事故の実例に即して、道路交通の状況、運転者の状況その他の交通事故に関係する事項について、その原因等に関する科学的な研究に資するための調査を行うこと。
二 交通事故の原因等に関する科学的な研究を目的として、前号に規定する調査(以下この章において「事故例調査」という。)に係る情報又は資料その他の個別の交通事故に係る情報又は資料を分析すること。
三 交通事故一般に関する情報又は資料を収集し、及び分析し、その他交通事故に関する科学的な調査研究を行うこと。
四 交通事故に関する知識の普及及び交通事故防止に関する意識の啓発を図るため、第二号の規定による分析の結果又は前号の規定による分析の結果若しくは調査研究の成果を、定期的に又は時宜に応じて提供すること。
五 外国における交通事故に関する調査研究機関との間において情報交換を行うこと。
六 前各号に掲げる事業に附帯する事業を行うこと。
第108条の15(事故例調査に従事する者の遵守事項)
事故例調査に従事する分析センターの職員は、事故例調査を行うために関係者に協力を求めるに当たつては、その生活又は業務の平穏に支障を及ぼさないように配慮しなければならない。
2 事故例調査に従事する分析センターの職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第108条の16(分析センターへの協力)
警察署長は、分析センターの求めに応じ、分析センターが事故例調査を行うために必要な限度において、分析センターに対し、交通事故の発生に関する情報その他の必要な情報又は資料で国家公安委員会規則で定めるものを提供することができる。
2 警察庁及び都道府県警察は、分析センターの求めに応じ、分析センターが第百八条の十四第三号に掲げる事業を行うために必要な情報又は資料で国家公安委員会規則で定めるものを分析センターに対し提供することができる。
第108条の17(特定情報管理規程)
分析センターは、交通事故に関するデータベース(事故例調査に係る情報及び前条第二項の規定による提供に係る情報(以下この条及び第百八条の十九において「特定情報」という。)の集合物であつて、特定情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)の構成及び運用その他の特定情報の管理及び使用に関する事項についての規程(以下この条及び第百八条の十九において「特定情報管理規程」という。)を作成し、国家公安委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国家公安委員会は、前項の認可をした特定情報管理規程が特定情報の適正な管理又は使用を図る上で不適当となつたと認めるときは、分析センターに対し、当該特定情報管理規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 特定情報管理規程に記載すべき事項は、国家公安委員会規則で定める。
第108条の18(秘密保持義務)
分析センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、第百八条の十四第一号から第三号までに掲げる事業に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(罰則 第百十七条の三第三号)
第108条の19(解任命令)
国家公安委員会は、分析センターの役員又は職員が特定情報管理規程によらないで特定情報の管理若しくは使用を行つたとき、又は前条の規定に違反したときは、分析センターに対し、当該役員又は職員を解任すべきことを命ずることができる。
第108条の20(事業計画等の提出)
分析センターは、毎事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に国家公安委員会に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 分析センターは、毎事業年度の事業報告書、収支決算書、貸借対照表及び財産目録を作成し、当該事業年度経過後三月以内に国家公安委員会に提出しなければならない。
第108条の21(報告及び検査)
国家公安委員会は、分析センターの事業の運営に関し必要があると認めるときは、分析センターに対し、その事業に関し必要な報告をさせ、又は警察庁の職員に分析センターの事務所に立ち入り、事業の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第108条の22(監督命令)
国家公安委員会は、この章の規定を施行するため必要な限度において、分析センターに対し、その事業に関し監督上必要な命令をすることができる。
第108条の23(指定の取消し等)
国家公安委員会は、分析センターがこの章の規定に違反したとき、又は第百八条の十七第二項、第百八条の十九若しくは前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
2 国家公安委員会は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第108条の24(分析センターの運営に対する配慮)
警察庁及び都道府県警察は、分析センターに対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、その事業の円滑な運営が図られるように必要な配慮を加えるものとする。
第108条の25(国家公安委員会規則への委任)
第百八条の十三から前条までに規定するもののほか、分析センターに関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。